SFTS(重症熱性血小板減少症候群)
最近は暖かい日が続くようになり、病院でも新年度になり予防シーズンがやってきました。
ワクチンや狂犬病予防などに来院される飼い主様も多いと思いますが、ノミやダニの予防をお忘れではないでしょうか?
今回はそんなダニから感染する疾患について紹介しようと思います。
みなさんは“SFTS”という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:重症熱性血小板減少症候群)とは、
高熱と白血球減少、血小板減少を主徴とする重篤な熱性疾患でマダニ媒介性の感染症です。
SFTSウイルスはマダニの吸血によってヒトや動物に伝播するウイルスであり、
ダニの吸血の際の伝播を基本様式としつつ、感染動物の血液や体液(涙や唾液)、排泄物(尿や便)、
嘔吐物などを介してヒトにも感染の可能性があります。
発症動物から飼い主や動物病院スタッフへの感染・発症例も見つかったことから注意が必要であり、
獣医療現場における本疾患の重要性が増しています。
SFTSウイルス遺伝子陽性マダニは全国的に分布しているので、
これまで患者発生の報告がない地域においても注意が必要です。
ネコやイヌは致死的なSFTS様疾患を発症し、特にネコは比較的感受性が高いことが知られています。
ネコでは、1歳以下の若齢から発症例がみられ、雄雌差は特にありません。
元気・食欲低下、発熱(39℃以上)、黄疸が多くの症例でみられ、下痢や嘔吐等の消化器症状を示す症例もみられます。
発症後の致死率は60%前後と高く、重症例では急速に状態が悪化し、
発症後数日で死亡する個体が多いため注意が必要です。
イヌのSFTS発症例においても、ネコと同様に元気・食欲低下、発熱(39℃以上)、
白血球数減少、血小板数減少がほぼすべての症例でみられ、致死率も40%以上と高い数値を示します。
しかし、犬の場合は猫に比べて軽症であり、不顕性感染である可能性も高いです。
現時点で動物のSFTSに対して有効な治療法はなく、皮下輸液や静脈内点滴による体液補正、
制吐剤や抗けいれん薬などの対症療法、二次感染予防を目的とした抗菌剤の投与が中心となります。
これらのことから、発症してからの対応では危険であり、ダニの予防などにより発症させないことが大事といえます。
当院でもノミ・マダニ予防には力を入れており、1年以内にワクチンを打っていて、
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