症例報告ブログ

ハムスター 直腸脱

原因

下痢や消化器疾患(腸重責など)に続発して発生する

 

症状

お尻から赤く充血したものや、赤黒いものがみられる

 

診断

脱出した腸の綿棒などによる触診

身体検査やエコー検査による基礎疾患の発見

 

治療法

腸重責を伴わない直腸脱は綿棒などで直腸内に緩やかに押し戻し、場合によっては肛門に巾着縫合を行う

腸重責を伴った直腸脱は開腹手術や重責部の切除が必要になる

 

 

予後

腸重責を伴った直腸脱の予後はやや不良

下痢の治療反応によりではあるが、再度脱出しない症例の予後は比較的良好

 

症例

1歳齢

キンクマハムスター

オス

 

主訴

お尻から腸が出ている、下痢している

 

治療経過

綿棒にて整復したが、再脱出を繰り返したため、沈静下で肛門巾着縫合を実施。

 

写真 左整復後、右整復前

 

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脛骨異型性症

脛骨異型性症

 

・脛骨異型性症とは

脛骨異形成症は、脛骨遠位が内反する疾患です。この疾病は、脛骨遠位内側成長板の機能障害が原因とされており、跛行や外観上の問題が重度である場合は外科的治療が必要になります。本疾病は日本で飼育頭数の多いミニチュアダックスフンドにおいて好発するため大きな問題になっています。

 

・診断

跛行を示す疾患の除外と、左脛骨のX線検査を実施し、脛骨の内反を確認することです。このX線検査から、矯正手術を行う角度を求めます。

 

・治療方法

脛骨異形成症の外科的治療方法は、骨切り後に骨の内反を矯正し、最後に固定する方法が一般的です。固定方法には創外固定やプレートを用いた内固定などが報告されています。当院ではプレートを用いて固定を行っています。

 

・症例

犬種:ミニチュアダックスフンド

年齢:9ヵ月齢

雌雄:未去勢雄

主訴:後肢の歩様状態の異常を主訴に当施設に来院した。歩様状態の変化は徐々に進行性であり、最近になり顕著に認められるようになった。患者は落下や事故などの外傷歴はなく、過去に跛行を呈したことはない。

 

・検査

視診:歩行は可能であるが時折うさぎ跳び様の歩様を示し、走行時により顕著に認められた。

四肢の触診:特記事項なし

レントゲン検査:左脛骨遠位部に内反が認められた。内反する角度は、左脛骨において31.9度、右脛骨において7.6度であり、左脛骨が右脛骨に比べて24.3度大きく内反していることが確認された

手術直後

 

治療および経過

今回の症例ではプレートを用いた開放性楔形骨切り術を実施した。手術後のX線検査では,左脛骨の内反角度は9.84度に矯正されていた。患者の歩様は改善し、現在経過良好である。

OPE直後

ope直後

抜インプラント後

手術完成

色素性角膜炎

<色素性角膜炎とは> 角膜へのメラニン色素沈着を伴う角膜炎で、特にパグやシー・ズーなど短頭種の犬に多くみられます。

<原因> 角膜への慢性刺激で、睫毛の重生・乱生(いわゆる逆まつ毛)や眼瞼内反・外反などの眼瞼の異常、あるいは乾性角結膜炎(ドライアイ)などによって起こります。

<症状> 角膜上皮や実質への色素沈着で、角膜への血管新生や結膜充血がみられることもあります。

<治療> 一般的には刺激の原因を取り除いて色素沈着の進行を止めます。睫毛や被毛の接触によるものでは角膜に当たっている毛を定期的に抜きます。ドライアイの場合はヒアルロン酸やシクロスポリン点眼を使用することもあります。

 

<症例>

6歳のシー・ズー、オス。

最近、眼が濁ってきたようだと来院されました。

眼圧は正常、角膜にキズはありませんでしたが、両眼の角膜に色素沈着と混濁が認められました。

現在は眼瞼周囲の被毛を整え、ヒアルロン酸の点眼で角膜を保護し、経過をみています。

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

病態

犬パラインフルエンザウィルスやアデノウィルスなどの種々のウィルスや細菌が混合感染し、犬に気管気管支炎を起こす疾患であり一般にケンネルコフと呼ばれます。伝染性の強い呼吸器疾患であり、多頭飼育や不良な環境下に飼育される犬に発生が多く、発症した犬との接触により感染する可能性があります。

 

症状

発咳が主要な症状であり全身状態は良好であることが多いです。乾性の咳が一般的ですが喀痰(気道粘膜からの分泌物)の存在により湿性の咳(タンが絡んだような咳)に変わります。

 

診断

特定の原因ウィルスや細菌を証明することは難しく、一般血液検査や胸部レントゲン検査においても正常から軽度異常所見が認められる程度であることが多いため、多くは感染犬との接触の有無や飼育環境の特定、臨床症状などに基づいて診断します。

 

治療

抗菌薬の投与が第一選択となります。症状の緩和治療として去痰薬、気管支拡張薬、抗炎症薬なども併用します。鎮咳薬の使用は、特に喀痰の貯留が明らかな場合、控えた方が良いとされていますが、発咳が重度であり体力の消耗が激しい場合や就寝不可などの場合に使われることもあります。また、ネブライゼーションによる処置も有効です。

 

予後

高温多湿・冷温乾燥を避け、ストレス改善など適切な環境下であれば治療により予後は良好な疾患です。しかし罹患犬の状態や肺炎などを併発している場合は重症化することもあり得ます。また、適切な治療を行っても短期間での発咳症状の消失はまれであるため、飼い主様には根気よく投薬を頑張って頂く必要もあります。

 

症例

犬種:ビーグル

年齢:6ヶ月例

雌雄:未去勢雄

主訴:

元気・食欲は正常

1週間前にペットショップから引き取った

咳がひどいとの主訴で来院

 

検査

聴診にて心音・肺音正常

体表リンパ節腫脹みられず

レントゲン検査を実施したところ、顕著な異常所見は得られず

 

治療

年齢、症状などからケンネルコフと判断し、ネブライザー、抗生剤・去痰剤の投薬により経過を観察しました。初診時から2週間ほどは咳が増えているように感じたとのことでしたが、根気強く2~3日おきにネブライザーに通院してもらい、その後は症状が落ち着いていきました。1ヵ月経過したころには咳がだいぶ少なくなったとのことで、1ヵ月半経過したころには症状は出なくなったとのことでした。

現在、投薬、ネブライザーは行っていませんが症状もなく元気に過ごしてくれています。

動脈管開存症

動脈管開存症

 

・動脈管開存症とは

動脈管は胎生期に肺動脈と大動脈に血液を通すバイパスとして機能しており、通常生後2~3日に退縮します。動脈管開存症では本来閉じるべき動脈管が残っており、治療しなければうっ血性心不全に発展してしまう先天性の病気です。

 

・症状

初期では無症状のことが多いが、症状が悪化すれば運動不耐性、呼吸速迫、発咳などが見られます。さらに症状が悪化すれば失神、チアノーゼ、うっ血性心不全による肺水腫で命に係わる可能性もでてきます。

 

・診断

身体検査では連続性雑音という特徴的な雑音が聴取され、動脈管開存症の疑いを判断します。

確定診断には心エコー検査が必要となり、肺動脈の分岐部での血液の乱流を確認します。

また心拡大の評価のためにレントゲン検査なども用いられます。

 

・治療方法

内科治療では一般的な心不全に対する薬が用いられます。しかし内科治療では根治治療が望めることが少なく、病態が悪化する前に外科手術を選択することが推奨されます。

外科治療では開胸手術により動脈管を糸で結紮し血流を遮断します。当院では外科手術をよりスムーズに行う目的で術前のCT撮影で動脈管を確認することおこなっています。

 

 

・症例

症例:

T.プードル

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主訴:

3カ月齢のワクチン接種時に心雑音を聴取した。

 

検査:

聴診にて連続性雑音という動脈管開存症に特徴的な心雑音を聴取した。

心エコー検査で肺動脈付近に血液の連続性の乱流を確認し、動脈管開存症であることを確認した。

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治療:

生後7カ月まで成長を待ち外科手術をおこなった。手術では肺動脈と大動脈をつなぐ異常な血管を確認し、糸で結紮し血流を遮断した。

また術前のCT検査にて動脈管の確認を行い、術後のCT検査にてその部分の血流が遮断されていることを確認した。

現在は心雑音も確認されず良好な経過を送っています。

オペ前CT(矢印が動脈管)

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オペ後

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