緑内障(義眼挿入術)
緑内障とは
緑内障は一般的に獣医領域では眼圧(眼の中の水の圧力)の上昇により、正常な視機能の維持が不可能な状態なことを言います。
それにより、失明、目の痛み、眼球の腫大などを引き起こします。
緑内障の治療
眼圧を下げるための点眼薬の使用が一般的です。
また急性期の症状に対して、視覚を維持するために静脈内に利尿剤を投与する方法もあります。
もしすでに視覚が消失してしまっている場合、痛みの緩和や眼球腫大を防ぐため、
眼球摘出、義眼挿入術、眼球内に薬剤を入れ眼圧を低下させる処置などが検討されます。
義眼挿入術(強膜内シリコン義眼挿入術)
本手術は眼球の外側を残し、眼球内容物を除去しそこにシリコン義眼を挿入する方法です。
メリットは、眼球の痛みなどからの解放と、ほかの手術に比べ外観の変化が少ない点です。
デメリットは、ドライアイを生じることがあるため術後のモニターがしばらくの間は必要となる点です。
症例
種類:柴犬
年齢:12歳
主訴:数日前から右眼が痛そうで、右眼をつぶってしまう
診断:眼の検査により眼圧が70と上昇しており(正常:25>)、緑内障が疑われた。
また、視覚はすでに消失している可能性が高いと判定された。
治療:まずは眼圧を下げるための薬を血管内投与し、点眼薬なども用いた。
しかし眼圧はうまく下がらず、視覚の回復も見られなかったので、痛みの緩和を目的に義眼挿入術を実施した。
術後:数日は手術の痛みなどが見られたが、その後は緑内障の痛みから解放され通常の生活を送っている。
術後1ヵ月半の写真であり、矢印が義眼挿入した眼である。外観上はきれいな状態が維持されている。