健康診断と脾臓腫瘍
みなさんの大切な家族のわんちゃん、ねこちゃんは定期的な健康診断を行っていますか?
特に最近は生活環境の向上や獣医療の発達に伴い、動物たちの寿命もだんだん長寿化してきています。
それにより、人のように心臓病や腫瘍性疾患が見つかる件数も増えています。
今回は、高齢のわんちゃんで脾臓に腫瘍が見つかった症例を紹介します。
症例
10歳10か月 柴 雌 体重13kg
血液検査:CRP(炎症の指標となる蛋白質)12.6mg/dL(0.0~1.0)
ALPi(肝臓の誘導酵素、ストレスでも上昇する)279U/L(0~89)
それ以外特記事項なし
レントゲン検査
病理結果:
リンパ結節性過形成から高分化型リンパ腫
良性ではないが、悪性度の低い腫瘍で外科的摘出により予後良好なこともあり。
ただし徐々に進行して悪性転化することもあり得るため、経過観察は必要である。
今回の症例は外科的摘出により、その後は今のところ良好な予後を過ごしています。
脾臓腫瘍には様々な種類があり、場合によっては大きく(15cm以上)なることもあります。
もし破裂したりすると、腹腔内に大量出血を引き起こす可能性もあります。
臨床症状ははっきりとせず、嗜眠、食欲不振、体重減少、腹囲膨満などがあげられます。
平成動物病院では健康診断として血液検査をはじめとした検査を提案しています。
今回の症例のように、お腹の中に大きな腫瘍があっても血液検査に反映されないケースも多数あります。
それぞれの検査には得意分野、不得意分野があるため、様々な検査の結果から総合的に判断する必要性があります。