症例報告ブログ

犬のワクチン パート2

以前の犬のワクチンに引き続きです。

今回はいつどのようなワクチンを接種すべきか、またどのような望まれない作用があるかについてについてご紹介します。

 

 

 

パピークラス写真

・子犬のワクチンプロトコール

成犬(1歳以上)は狂犬病ワクチンと混合ワクチンを一年に一回づつ打つ必要がありますが、子犬の時のみ混合ワクチンは3回打つ必要があります。子犬は生まれてから2ヶ月までの間は、母親からもらった抗体のお陰で感染症にかかることはあまりありません。そのため生まれて2ヶ月の時点から一ヶ月ごとに3回はワクチンを接種する必要があります。また、副作用の観点から最初の1回目は6種のワクチンを推奨しています。

 

 

 

図1

・ワクチンの副作用について

ワクチンには種類に関係なく副作用の可能性があります。一番危険なのはアナフィラキシーショックという接種後30分以内に起こる反応であり、時に致死的です。数千から一万件に一件ほどの低い割合で起こる副作用ですが、初めてワクチンを打つ場合は接種後の数十分は病院の近くにいるなどの対処法をとることができます。他にも、顔の腫れ(特に目の周り)、嘔吐、下痢や免疫疾患などを起こす個体が存在します。

 

 

以上が犬のワクチンについてでした。

副作用について聞いてしまうと接種をためらってしまうかもしれませんが、適切な対処を行うことで救命できるケースもあり、また自分の家族のためだけでなく他の家族のためと思ってご協力お願いします。

ひも状異物

今回は猫で多く見かけるひも状異物についてです!若い猫ちゃんが毛玉や、ゴムひもなどで遊んでいるときにそのままひもを飲み込んでしまうのは珍しい事ではありません。しかし、ひもは飲み込むととても危険ですから、遊ばせないように気を付けてくださいね。

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・症例
症例:和猫 2歳 雄
主訴:昨日より頻回の嘔吐
検査:エコー検査で異物を疑う腸管が確認されました。 (アコーディオン像)
ひも状遺物 (2)
治療:
開腹術により腸管から異物を摘出しました。開腹後も食事等の管理、抗生剤の投与を行い、術後合併症なども起きずに、元気になっています。
(図:取り出された異物)
ひも状遺物 (1)

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・ひも状異物とは
ひも状異物はその名の通り、ひもや糸などの異物により腸閉塞を起こすような病態を言います。若齢のネコでは特に多く、ひもや糸などで遊んでいるうちに、それらを誤飲してしまい起こることが多いです。
ひも状異物では腸管が広範囲に影響を受けることが多く緊急的な処置を必要とすることが多いです。

・症状
一番多い症状は急性的な嘔吐、食欲不振などです。

・診断
エコー検査が有効的です。またレントゲン検査や血液検査も、診断の補助になることがあります。はっきりしない場合は、消化管造影検査なども行います。まれに身体検査で口腔内に異物の一部が確認されることなどもあります。
ひも状異物は診断が難しいこともあり、疑いが強い場合は試験的な開腹手術で異物の有無を確認する場合もあります。

・治療方法
外科により異物を摘出します。手術後も術後合併症などが起きないか経過をしっかり観察する事が必要です。

膿皮症

今回はわんちゃんの皮膚病で最もよく見かける膿皮症(細菌が皮膚に感染した状態)について説明します。特に夏に多く、毛をかき分けてみたらアレ?プツプツしているなんてときは早めに見せてくださいね。

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・症例
犬種:ミニチュア・ダックス  年齢:11歳  性別:未去勢雄
体重:8㎏  飼育方法:室内飼い  
主訴:1週間前からの胸~下腹部の痒み。

胸~下腹部にかけて広範囲に、痂皮、表皮小環を多数認めた。
皮膚検査の結果、多数の球菌および好中球を認めた。その他の感染症は認められなかった。
検査結果から、膿皮症と診断し、抗生剤と抗菌剤入りシャンプーを処方した。治療開始から速やかに痒みは軽減し、皮診も認められなくなった。その後、2週間の抗生剤の投与を継続し、再発は認められていない。
症例図
左:治療前の胸部 赤くなりカサブタがついている
右:治療後2週間の胸部 皮診がなくなり、痒みもない

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・膿皮症とは
膿皮症とは、細菌感染による皮膚炎です。鼻の中や陰部あたりに存在する常在菌が、なめることによって、皮膚の表面や毛穴などに拡散、感染すると考えられています。

・症状
皮膚に丘疹(ブツブツ)、膿疱(ニキビ)、表皮小環(円形のフケ)ができ、皮膚に炎症が生じます。さまざまな痒みも伴います。皮膚の深い部分で細菌感染が起こると結節というイボの様になったり、赤くはれたりします。
※いろいろな皮疹(左から丘疹、膿疱、表皮小環)
図1

・診断
皮膚の検査を行います。
◎テープストリップ、スタンプ:セロテープやスライドガラスを使ってどんな細胞、細菌、カビがいるか検査します。
◎抜毛・掻爬試験:毛を抜いたり、皮膚を少し削り取ったりすることにより、ダニがいるか、毛の様子を検査します。
◎ウッド灯:紫外線を当てることによって糸状菌(カビ)を検出します。

テープやスタンプで炎症細胞が菌を食べている像があれば、細菌感染による炎症が起こっている証拠です。ほかにも毛穴にすむダニや、カビによる感染が同時に起こっている場合もあるので各種の検査が必要となります。
顕微鏡図
※左  赤矢印:炎症の細胞(好中球)、赤矢尻:細菌(紺色の点々はすべて)、
※右  黒矢印:好中球が細菌を食べている図

・治療
1.抗菌薬の投与
細菌に有効な抗菌剤を2〜3週間投与を行います。皮膚の深い所で感染が起きているところでは4〜8週間投与することがあります。
ただし、抗菌薬の効果が認められないときは、どの抗生剤が細菌に有効なのか調べる細菌培養検査を行い、適切な抗菌薬を選択する必要があります。
2.シャンプー療法
殺菌または静菌成分の配合されたシャンプーが有効です。ブラッシング後、水またはぬるま湯で流し、シャンプーをよく泡立て、5—10分放置してください。流すときも水またはぬるま湯で行い、タオルドライを行ってください。熱湯、熱風など、患部を暖めてしまうと、悪化してしまうことがあります。症状があるあいだは週に1−2回シャンプーをしていただきます。

・まとめ
膿皮症は細菌感染が起こってしまう皮膚の環境の問題が背景にあることが多いです。皮脂や尿や便の汚れなどはもちろん、根本にアレルギーがあることもあります。また、本人の免疫状態、ホルモンバランスの崩れによっても膿皮症が起こりやすい皮膚の状態になることもあります。治りにくいときは、細菌培養検査、血液検査、レントゲン、エコーなど詳しい検査を行う必要があります。皮膚も全身状態に関わっているからです。

膿皮症は正しい治療を行えば、きちんと治すことができます。ただし、1、2日ではきれいにならないうえに、家での瀕回のシャンプーなど、オーナー様にお手伝いいただく部分が多い疾患でもあります。痒みがなくなり、皮膚がきれいになるよう、一緒に治療していきましょう!

犬のワクチン(ワクチンの種類)

今回はわんちゃんのワクチン一回目です!ワクチンってどんな種類があるの?何種混合ってどうやって選ぶの?などの疑問に答えていきたいと思います!!

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パピークラス写真

・犬のワクチンの種類
 犬のワクチンには大きく分けて混合ワクチンと狂犬病ワクチンがあります。
1.混合ワクチン
混合ワクチンは犬の感染症の中でも致死率の高いウイルス感染を予防するためのワクチンです。平成動物病院で扱っている6種混合ワクチンには下記の6種のウイルス感染症が含まれています。
  1.犬ジステンパー
  2.犬パルボウイルス感染症
  3.犬アデノウイルスI型感染症(犬伝染性肝炎)
  4.犬アデノウイルスII型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
  5.犬パラインフルエンザ
  6.犬コロナウイルス感染症
また、8,9,11種混合ワクチンには上記の6つの感染症に加え、レプトスピラという細菌感染症に対するワクチンが含まれています。レプトスピラ感染症にはインフルエンザのA型、B型のように種類があり、ワクチンの種類が増えるほど対応するレプトスピラの種類が増えます。愛知県ではレプトスピラ感染症が多くみられるため(下図参照)、川などの水場の近くにお散歩に行く犬、家の付近でネズミが多くみられる場合は9種または11種混合ワクチンの接種を推奨しています。何種類のワクチンでも同じ費用で接種することができます。

レプトスピラ

2.狂犬病ワクチン
狂犬病ワクチンはその名の通り、狂犬病を予防するためのワクチンです。狂犬病は咬傷によって人にも感染するウイルスであり、致死率が100%近いことで有名です。現在日本には狂犬病ウイルスは存在しませんが、法律上全ての犬に義務づけられているワクチンです。当院では公園などで行っている狂犬病の集合注射と同じ費用でワクチンを接種することができます。また、以下の表に示す市町村では狂犬病の代行登録を行っています。

代行登録が可能な市町村
本院     春日井市 豊山町 北区
八事分院   千種区 瑞穂区 天白区 昭和区

甲状腺機能低下症

今回は脱毛のお話です。わんちゃんの毛が抜けるという症状には多くの原因が考えられますが、高齢のわんちゃんに多い原因として、ホルモンの異常というのがあります。詳細な血液検査やエコー検査をしていくことで初めて鑑別が出来る疾患ですので、なかなか治らない脱毛もあきらめず病院に通ってくださいね!

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症例
年齢:16歳
犬種:ミニチュアダックスフンド
主訴:背部や腹部の脱毛および掻痒。以前から抗生剤やシャンプーが処方され、一時的には良化するもののすぐに悪化、というのを繰り返している。頸部の皮膚の肥厚やふらつきなどの神経症状が認められる。
血液検査:肝酵素の上昇が認められた(ALT:97U/L、ALP:746U/L)
甲状腺機能検査:T4(0.5ug/dL)、fT4(<3.86pmol/L)の低下およびTSH(1.09ng/mL)の上昇が認められた。
診断:甲状腺機能低下症
治療:レボチロキシンナトリウムを20ug/kgで1日2回投与を開始した。
   1か月経過し、初診時より皮膚の病変が良化してきている。

甲状腺機能低下症
   
          投薬前                 投薬後

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・甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏によって引き起こされる疾患である。
甲状腺ホルモンはほぼ全ての臓器、細胞に対し代謝活性を促したり、分化増殖を亢進させる、体に欠くことのできないホルモンである。

・原因
①原発性甲状腺機能低下症
②二次性甲状腺機能低下症
③三次性甲状腺機能低下症
④先天性甲状腺機能低下症
以上の4つがあるが、95%以上が①原発性甲状腺機能低下症である。
①はさらに自己免疫疾患であるリンパ球性甲状腺炎と原因不明の特発性甲状腺萎縮の2つの病態に大別される。

・犬種
4~10歳における発生が多く、中型~大型犬に多い。
好発犬種としてはゴールデンレトリーバー、ビーグル、ドーベルマン、ミニチュアシュナウザーなどが挙げられる。

・症状
主訴としては元気消失、神経症状、動きが鈍くなった、運動を嫌がる、体重の増加、低体温、よく寝る、脱毛、皮膚の肥厚、難治性の皮膚炎など多岐にわたり、はっきりしないものが多い。

・診断
臨床症状およびスクリーニング検査結果から疾患を疑い、甲状腺機能検査によって診断する。
血液検査では高コレステロール血症や高トリグリセリド血症が最もよく認められ、軽度の貧血や肝酵素の上昇がみられることがある。
甲状腺機能検査ではサイロキシン(T4)、遊離サイロキシン(fT4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血中濃度を測定する。
甲状腺機能低下症ではT4、fT4の低下が認められ、ネガティブフィードバックによってTSHの上昇がよく認められる。

・治療
一度発症すると完治ができない疾患であるため、治療としては甲状腺ホルモンを生涯にわたって投与する必要がある。
投与量が多すぎると逆に甲状腺機能亢進症という疾患が引き起こされる可能性があるため、定期的に病院でホルモン値の測定や血液検査などを行い、適切な量で投与されているかチェックする必要がある。

・予後
適切な量のホルモン剤が投与されていれば予後はよい。