症例報告ブログ

臍ヘルニア

今回はわんちゃん、ねこちゃんのデベソについて紹介します。若い子でお腹の中央あたりにポコンと柔らかいできものが認められたら、臍ヘルニア(デベソ)の可能性が高いです。押すとお腹の中に戻ることが多いのも一つの特徴です。

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症例:年齢不明 雄 和猫
主訴:腹部より内部臓器が脱出している猫を保護したと来院した。
保護猫であるため齊ヘルニアによる便秘や嘔吐などの症状の有無、腹部内容の脱出原因は不明であったが何らかの症状がでる、感染症になる可能性や周囲の皮膚や組織の壊死が起こる可能性があったため齊ヘルニアの整復手術を行った。
経過:ヘルニアの整復は行われたため、便秘等の症状や感染症は見られず、現在は健康に過ごしている。

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・臍ヘルニアとは
いわゆるデベソのことである。腹腔内容(腸または脂肪)が臍(ヘソ)へと飛び出してしまうことである。

・原因
生後から成長に伴い閉じるべき臍の穴が閉じずに成長時してしまうことにより、その穴より腹腔内の臓器が脱出してしまうことによっておこる。また、齊の穴が閉じない原因については明らかではないが、遺伝性であるといわれており親に齊ヘルニアがあった場合は仔にもみられることが多いため注意が必要である。

・症状
齊ヘルニアの大きさはさまざまであり、デベソの状態になっている。
齊の中に脂肪が入っている場合は無症状だが、腸が入っている場合には食欲不振、嘔吐、便秘、腹部痛、元気がない等の症状がみられる。

・診断 
お腹を触ってデベソを確認する。

・治療
子犬のときにみられるものであれば齊ヘルニアは自然に閉じることがあるため無治療(経過観察)だが、成犬となってしまうと外科的にヘルニアの脱出物をお腹の中に戻し縫うことによって閉じる。

熱中症

今回は夏に多い、熱中症についての説明です。夏が来るとアスファルトから近いところでお散歩しているワンちゃん達は、私たち人間よりより強く太陽の熱をうけてしまいます。パグやシーズーなどの短頭種や黒い毛色のワンちゃんは特に熱中症に陥りやすいため、お散歩は早朝および日が沈んでから行うと良いでしょう。また、暑い家や車の中にわんちゃん、ねこちゃんを放置することで同様の症状が起こりますので、お出かけの際は気を付けてあげてくださいね!

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症例:ブルドッグ ♂ 5歳 25kg
主訴:1時間前にトリミングしてから呼吸荒い、嘔吐と下痢が2回起きた
院内検査
体温:42.0℃
血液検査、レントゲン検査にては特記事項無し
経過
抗生剤と抗凝固剤の投与を実施。
第2病日に血小板の減少傾向が血液検査にて認められたが、その後回復。初日に体温が下がってからは一般状態も良好。第5病日に退院。

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・原因
体に過度の熱が加わることで発生します。蒸し暑い日に車内や室内で留守番したり、暑い時間帯に散歩や屋外で過ごすなどすることで起きます。また短頭種の犬(ブルドッグ、パグ、ペキニーズ等)や北方が原産の犬(ハスキー、サモエド等)、太った犬、大型犬、心臓や呼吸器に基礎疾患のある犬が熱中症に罹患しやすいです。

・症状
開口呼吸、よだれを大量に流す、嘔吐、下痢、ふらつきなどがまず起こります。症状が進行すると失神、筋肉の震え、痙攣発作、吐血、下血、チアノーゼ、ショックなどが起こり命にかかわる病態に進行します。

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  開口呼吸    よだれ    意識障害
 

 

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   短頭種は熱中症をおこしやすい        大血管のある場所(頸、脇等)を冷やす
 

 
・診断
オーナー様よりの凛告と高体温、臨床症状などで診断をします。
症状により血液検査で腎数値や肝数値の高値、溶血による貧血、血小板減少などがみられることがあります。

・治療
 体温を39.5℃まで冷やすこと、静脈内輸液を急速に行うことで救急処置を行います。同時に利尿剤や抗生剤を皮下注射します。
 体温が下がっても意識が戻らなかったり、低体温、血小板減少症を起こす場合があり数日の入院が必要になります。

・予防
涼しい時間に散歩に行く、日陰を歩く、室内・車の中に一人で放置しない、いつでも冷たい水を用意しておくことなど体温を上げないことが大切です。

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犬の前立腺肥大症

今回は去勢していないわんちゃんによく見られる病気の一つである、前立腺肥大症を紹介します。おしっこの出が悪い、うんちが平べったいなどの症状はこの病気でよく見られるものです。見落としのないように、愛犬を観察してあげてくださいね。

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症例:ミニチュアダックス、雄、11歳
主訴:3か月前からの尿失禁、頻尿
院内検査:
身体検査―直腸内触診で前立腺の肥大が触知された
血液検査―特記事項なし
レントゲン検査・エコー検査―6.0×2.6㎝の肥大した前立腺が認められた
経過:
術前検査を行った後、全身麻酔下で去勢手術を行った。そのご尿失禁・頻尿などの臨床症状は消失した。

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    前立腺肥大犬のX-ray               正常犬のX-ray

 

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     前立腺肥大犬のエコー画像
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・前立腺肥大症とは
去勢をしていない高齢の雄犬に一般的に認められる疾患で、精巣からのホルモン分泌異常により、副生殖腺である前立腺が肥大する病気です。

・原因
精巣で分泌される性ホルモン(アンドロジェンとエストロジェン)の不均衡によります。

・症状
前立腺の肥大により骨盤腔内の臓器(主に直腸や尿道)が圧迫され、排便困難や排尿困難、尿失禁を引き起こします。

・診断
直腸内触診、レントゲン、エコー検査により肥大した前立腺を確認できます。

・治療方法
内科治療:
精巣におけるアンドロジェン合成の阻害作用を示すホルモン剤を7-10日間経口投薬することにより、半年から1年の間前立腺が縮小します。
外科治療:
去勢により精巣で合成されるアンドロジェンがなくなるため、前立腺の縮小を望めます。

・合併症
前立腺の肥大に伴い、血液成分を貯留する前立腺嚢胞の形成や、前立腺に細菌が感染する前立腺炎という病態が起こりえます。後者の前立腺炎では膀胱炎などと同様に血尿を呈することがおおく、悪化すると前立腺に膿瘍を形成するため注意が必要です。

胃拡張/胃捻転(GDV)

GDVは特に大型犬、超大型犬腫に起こりやすい疾患です。吐きたそうにするが吐けない症状、お腹の張りは要注意です。早食いすること、食後に運動することはGDVになりやすい要因となりますのでご注意を!
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症例:12才 シェパード 雌
主訴:昼間までは元気であったが、夕方、大量に水を飲んだ後、元気がない。えずいたり、吐こうとしたりするができない。腹部の張りを認める。
X線検査:
胃内ガス抜去前-胃の重度拡張が認められる。加えて捻れている所見(棚状構造)も認められる。
胃内ガス抜去後‐胃内ガスがなくなり、胃の拡張は軽減されたが、それでもまだ胃内の大量の液体体貯留が認められ、捻転もしている。

GDV 図1

図2-2

      胃内ガス抜去前               胃内ガス抜去後

 

治療:GDVと診断し、緊急的に胃の中のガスを針穿刺により、抜去をおこなった。その後、緊急手術を行った。開腹手術により、胃の捻れを整復し、再発防止のため胃壁を腹壁に固定した。同時に脾臓摘出も行った。手術後は嘔吐もなく、経過良好である。

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・胃拡張/胃捻転(GDV)とは
過剰なガスにより胃が重度に拡張してしまうことによっておこる病気です。胃が拡張し、さらにお腹の中で捻れてしまうことがあります。発見が遅いと死に至る救急疾患であり、緊急手術が必要となります。GDVの死亡率は20〜45%と報告されています。

・原因
主に胸郭の深い大型犬や超大型犬で起こることが多いです。ほかにも、1回の食事で大量に食べる、速く食べる、食べた後の散歩・運動、高齢犬での発生が多いといわれています。

・症状
GDVが生じると、胃が重度に拡張・捻転しているため、嘔吐しようとするが何も出てこないことが多く、腹部の痛みが生じることがあります。胃が拡張・捻れることで、低血圧、ショック、消化管の壊死・穿孔が起こり、腹膜炎にまで発展することもあります。

・治療
低血圧などのショックの治療として輸液を行います。胃の減圧を行い、一般状態の改善を行います。開腹手術により、胃を切開し内容物・ガスの除去を行います。胃の整復、固定を行います。同時に脾臓の捻転も起こしている症例では、脾臓の摘出も行います。

角膜潰瘍

今回は目の病気で最も多い角膜潰瘍の話です。お散歩に行って帰ってきたら、眼をショボショボしている、目やにで目がくっついてしまって開かない!!なんて子は目の表面に傷がついている可能性があります。気を付けて下さいね!!

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<症例>
症例は14才のミニチュア・ダックス、避妊済みの女の子です。昨日から急に左眼がショボショボしていると来院されました。
種々の眼科検査をしたところ、角膜表面に大きな傷ができていました。この子は老年性の白内障でほとんど目が見えない状態だったので、おそらくどこかに目をぶつけてしまったのでしょう。黄緑色に染まっているところが潰瘍になっている部分です(図1)。
フルオレ(+)
 

 

 

 

 

 

図1 フルオレセイン染色

 
ヒアルロン酸や抗生剤の点眼、抗生物質の内服で治療を開始しました。傷が深かったのでやや時間がかかりましたが、3週間後にはここまで回復しました(図2)。
フルオレ(-)3W後
 

 

 

 

 

図2 約3週間後

 

傷の修復のために結膜から延びてきた血管が残っていますが、徐々に消失していくと思われます。
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 角膜潰瘍とは、眼の最表面の角膜に傷が付く病気です。
症状として
 ・眼が赤い
 ・涙や目ヤニが多い
 ・眼をしょぼしょぼする、瞬きが多い
 ・目の周りを触らせなくなる
などがあります。
喧嘩などによる外傷、シャンプーや薬品が目に入ったなどが主な原因となります。
角膜染色(フルオレセイン)試験を用いて傷の有無や大きさを確認しますが、睫毛異常、神経の異常、角膜上皮障害、内分泌障害などの基礎疾患があると診断や治療が難しくなります。
比較的浅い潰瘍は抗生物質やヒアルロン酸などの点眼による局所治療で治りますが、角膜実質におよぶものはコンタクトレンズの装着、眼瞼縫合・瞬膜被覆術、結膜フラップ、角膜ディスク(A Cell Vet)などの外科的治療が必要な場合もあり、潰瘍が進行すると角膜に穴が開いて(角膜穿孔)失明することもあります。
角膜上皮が再生するのに要する期間(ターンオーバー)は約1週間なので、それ以上傷が治らない、あるいは短期間に潰瘍を繰り返す場合は要注意、詳しく検査をした方が良いでしょう。

「目が赤い」「目が痛い」などの症状を示す病気は角膜潰瘍の他にも多くの病気があり、なかには失明に至る病気もあります。
 「ちょっと様子をみてから・・・」で手遅れになることもあります。
目の異常をみつけたら、できるだけ早く病院で診察を受けることをおすすめします。