症例報告ブログ

色素性角膜炎

<色素性角膜炎とは> 角膜へのメラニン色素沈着を伴う角膜炎で、特にパグやシー・ズーなど短頭種の犬に多くみられます。

<原因> 角膜への慢性刺激で、睫毛の重生・乱生(いわゆる逆まつ毛)や眼瞼内反・外反などの眼瞼の異常、あるいは乾性角結膜炎(ドライアイ)などによって起こります。

<症状> 角膜上皮や実質への色素沈着で、角膜への血管新生や結膜充血がみられることもあります。

<治療> 一般的には刺激の原因を取り除いて色素沈着の進行を止めます。睫毛や被毛の接触によるものでは角膜に当たっている毛を定期的に抜きます。ドライアイの場合はヒアルロン酸やシクロスポリン点眼を使用することもあります。

 

<症例>

6歳のシー・ズー、オス。

最近、眼が濁ってきたようだと来院されました。

眼圧は正常、角膜にキズはありませんでしたが、両眼の角膜に色素沈着と混濁が認められました。

現在は眼瞼周囲の被毛を整え、ヒアルロン酸の点眼で角膜を保護し、経過をみています。

犬伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)

病態

犬パラインフルエンザウィルスやアデノウィルスなどの種々のウィルスや細菌が混合感染し、犬に気管気管支炎を起こす疾患であり一般にケンネルコフと呼ばれます。伝染性の強い呼吸器疾患であり、多頭飼育や不良な環境下に飼育される犬に発生が多く、発症した犬との接触により感染する可能性があります。

 

症状

発咳が主要な症状であり全身状態は良好であることが多いです。乾性の咳が一般的ですが喀痰(気道粘膜からの分泌物)の存在により湿性の咳(タンが絡んだような咳)に変わります。

 

診断

特定の原因ウィルスや細菌を証明することは難しく、一般血液検査や胸部レントゲン検査においても正常から軽度異常所見が認められる程度であることが多いため、多くは感染犬との接触の有無や飼育環境の特定、臨床症状などに基づいて診断します。

 

治療

抗菌薬の投与が第一選択となります。症状の緩和治療として去痰薬、気管支拡張薬、抗炎症薬なども併用します。鎮咳薬の使用は、特に喀痰の貯留が明らかな場合、控えた方が良いとされていますが、発咳が重度であり体力の消耗が激しい場合や就寝不可などの場合に使われることもあります。また、ネブライゼーションによる処置も有効です。

 

予後

高温多湿・冷温乾燥を避け、ストレス改善など適切な環境下であれば治療により予後は良好な疾患です。しかし罹患犬の状態や肺炎などを併発している場合は重症化することもあり得ます。また、適切な治療を行っても短期間での発咳症状の消失はまれであるため、飼い主様には根気よく投薬を頑張って頂く必要もあります。

 

症例

犬種:ビーグル

年齢:6ヶ月例

雌雄:未去勢雄

主訴:

元気・食欲は正常

1週間前にペットショップから引き取った

咳がひどいとの主訴で来院

 

検査

聴診にて心音・肺音正常

体表リンパ節腫脹みられず

レントゲン検査を実施したところ、顕著な異常所見は得られず

 

治療

年齢、症状などからケンネルコフと判断し、ネブライザー、抗生剤・去痰剤の投薬により経過を観察しました。初診時から2週間ほどは咳が増えているように感じたとのことでしたが、根気強く2~3日おきにネブライザーに通院してもらい、その後は症状が落ち着いていきました。1ヵ月経過したころには咳がだいぶ少なくなったとのことで、1ヵ月半経過したころには症状は出なくなったとのことでした。

現在、投薬、ネブライザーは行っていませんが症状もなく元気に過ごしてくれています。

動脈管開存症

動脈管開存症

 

・動脈管開存症とは

動脈管は胎生期に肺動脈と大動脈に血液を通すバイパスとして機能しており、通常生後2~3日に退縮します。動脈管開存症では本来閉じるべき動脈管が残っており、治療しなければうっ血性心不全に発展してしまう先天性の病気です。

 

・症状

初期では無症状のことが多いが、症状が悪化すれば運動不耐性、呼吸速迫、発咳などが見られます。さらに症状が悪化すれば失神、チアノーゼ、うっ血性心不全による肺水腫で命に係わる可能性もでてきます。

 

・診断

身体検査では連続性雑音という特徴的な雑音が聴取され、動脈管開存症の疑いを判断します。

確定診断には心エコー検査が必要となり、肺動脈の分岐部での血液の乱流を確認します。

また心拡大の評価のためにレントゲン検査なども用いられます。

 

・治療方法

内科治療では一般的な心不全に対する薬が用いられます。しかし内科治療では根治治療が望めることが少なく、病態が悪化する前に外科手術を選択することが推奨されます。

外科治療では開胸手術により動脈管を糸で結紮し血流を遮断します。当院では外科手術をよりスムーズに行う目的で術前のCT撮影で動脈管を確認することおこなっています。

 

 

・症例

症例:

T.プードル

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主訴:

3カ月齢のワクチン接種時に心雑音を聴取した。

 

検査:

聴診にて連続性雑音という動脈管開存症に特徴的な心雑音を聴取した。

心エコー検査で肺動脈付近に血液の連続性の乱流を確認し、動脈管開存症であることを確認した。

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治療:

生後7カ月まで成長を待ち外科手術をおこなった。手術では肺動脈と大動脈をつなぐ異常な血管を確認し、糸で結紮し血流を遮断した。

また術前のCT検査にて動脈管の確認を行い、術後のCT検査にてその部分の血流が遮断されていることを確認した。

現在は心雑音も確認されず良好な経過を送っています。

オペ前CT(矢印が動脈管)

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オペ後

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食道内異物

普通の異物は以前に話したことがありますが今回は大きなものを食道に詰まらせてしまうケースです。いわゆる食べ物をのどに詰まらせるというケースです。

 

 

原因

小型犬で多く見られ、大きなものを飲み込んでしまったときに食道を通過できずにとどまってしますことで発生します。

 

症状

嘔吐と異なりものを食べた直後にすぐ吐き出してしまう吐出という症状が特徴です。

ほかに発咳や流涎が見られます。

 

診断

レントゲンや造影レントゲン、内視鏡

 

治療

大きさにもよるが基本的には内視鏡が適応ですが、あまりにも大きすぎるものや食道を傷つけてしまう恐れのある場合は開腹手術を行う。

 

 

症例

6か月のヨークシャテリアでジャーキーを食べてから吐くという主訴で来院されました。

 

レントゲン検査を実施したところ気管が一部腹側に圧迫されていたために造影を行ったところ食道に異物が見つかりました。

 

治療としては来院後すぐに内視鏡を行ったところ食道にジャーキーがあり内視鏡下で摘出しました。

その後、特に症状は見られなくなり現在も普段と変わらない生活を送っています。

 

 ibutu1来院時のレントゲン赤丸で囲まれてるところが異常な場所です。

ibutu2造影剤を飲ませた後です。赤丸で囲んであるところに異物があります。

ibutu3健康時のレントゲンです。気管がまっすぐになっています。

< 唾液腺嚢胞について >

唾液腺嚢胞は、唾液腺やその導管が傷害受けそれによるムチンの周囲軟組織への漏出によって起こります。この病態の原因として不明のものが多く、さまざまな原因(外傷、唾石や炎症による唾液腺導管の閉塞、腫瘍など)により発生します。

< 症状 >

頸部腹側、下顎間、口腔内舌下組織、眼窩周囲などに波動性の腫脹がみられます。

ドーム状の粘膜の腫脹のようにみられ、数mmから数cm程度に至る直径になることがあります。一般的には軟らかく波動感がありますが、硬結感を有することもあります。

典型的な症例では無痛性であるが、顕著な炎症や二次的感染がある場合には疼痛を伴う場合もあります。

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< 診断 >

腫脹部の触診と穿刺吸引により診断を行います。

穿刺吸引では透明~灰褐色あるいは血液の混じった粘調度の高い粘液が採取されます。

 

< 治療 >

本病変は稀に一過性で自然に破裂して治癒する場合がありますが、多くの場合、根治的治療が施されない限り病変は持続します。

数週間以上続く場合や初回破裂の後に再発した場合には、すべての症例において外科手術の実施が推奨されます。

 

 

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