症例報告ブログ

犬猫の腹膜透析について

こんにちは、平成動物病院です。

今回は「腹膜透析(ふくまくとうせき)」という治療法についてご紹介します。

 

腹膜透析ってなに?

腹膜透析とは

体液中に含まれる毒性溶質の除去や

異常に蓄積した様々な溶質の濃度を正常化する為に用いられる治療法です。

もっと分かりやすく言うと、お腹の中にある「腹膜(ふくまく)」という膜を利用して、体の中の老廃物や余分な水分を取り除く治療法です。

 

人の医療ではよく知られている治療ですが、実は動物でも行うことができます。

動物における主な適応は、急性腎不全であり、腎臓の働きが大きく低下したワンちゃん・ネコちゃんに対して行います。

 

どんなときに必要?

腎不全が進行し、「尿が出ない」「血中の毒素(BUNやクレアチニン)が高くなってしまっている」などの場合、

点滴だけでは十分な効果が得られないことがあります。

そんなとき、腹膜透析によって腎臓の機能を一部代行することで、症状の改善を図ります。

 

実際の流れ

  1. お腹に専用のカテーテル(細い管)を留置します
  2. 透析液をお腹に注入し、一定時間おいてから回収します
  3. この操作を1日に数回繰り返し、老廃物を除去します

 

治療中は血液検査や状態の変化を見ながら、透析の間隔や液量を調整します。

 

合併症の心配は?

腹膜透析は有効な治療法である一方で、いくつかの合併症に注意が必要です。

  • 腹膜炎(ふくまくえん)

透析中に細菌が腹腔内に入り込むと、発熱や腹痛、食欲不振などを引き起こすことがあります。

衛生管理やカテーテルの扱いには特に注意が必要です。

  • カテーテルの閉塞や漏れ

カテーテルが詰まったり、液がうまく出入りしない場合には、再設置や調整が必要になることもあります。

  • 電解質バランスの異常

体内のナトリウムやカリウム、カルシウムなどのバランスが変化することがありますので、血液検査を定期的に行いながら管理します。

  • 腹水の貯留や脱水

透析のペースや液の量が合わない場合、体内の水分バランスが崩れることがあるため、細やかな調整が重要です。

 

これらのリスクを最小限に抑えるため、当院では常に状態を観察しながら丁寧に治療を進めています。

 

ここで実際に当院で治療した1症例について紹介します。

 

症例

4歳11か月齢 避妊雌 ノルウェージャンフォレストキャット

4.28㎏ 体温37.5℃

主訴

他院にて急性腎不全で入院したが、改善が無く

腹膜透析を実施できる当院へ転院を希望

 

院内検査

血液検査

尿素窒素:>140㎎/dl クレアチニン17.1㎎/dl

CT検査では

明らかな尿管結石等は認めませんでした

 

治療経過

腎数値の上昇を認めたため、入院下で腹膜透析を実施しました。

腹膜透析実施後、徐々に腎数値の改善が認められ、

4日目には

尿素窒素20.4㎎/dl クレアチニン1.1㎎/dlと

正常範囲まで改善し、食欲も改善した為

入院5日目で退院、通院に切替となりました

 

その後、経過は良好で、食欲元気も改善が見られました

 

最後に

腹膜透析には適切な管理が必要であり、

また、全ての症例が腹膜透析の適応となるわけではありませんが、

このように、腹膜透析を実施することで、腎数値が改善する場合もあります。

 

その時のワンちゃん・ネコちゃんの状態に応じて、最適な治療法をご提案させていただければと思います。

 

ご不安なこと、ご質問があればどうぞお気軽にご相談ください。