唾液腺嚢胞
< 唾液腺嚢胞について >
唾液腺嚢胞は、唾液腺やその導管が傷害受けそれによるムチンの周囲軟組織への漏出によって起こります。この病態の原因として不明のものが多く、さまざまな原因(外傷、唾石や炎症による唾液腺導管の閉塞、腫瘍など)により発生します。
< 症状 >
頸部腹側、下顎間、口腔内舌下組織、眼窩周囲などに波動性の腫脹がみられます。
ドーム状の粘膜の腫脹のようにみられ、数mmから数cm程度に至る直径になることがあります。一般的には軟らかく波動感がありますが、硬結感を有することもあります。
典型的な症例では無痛性であるが、顕著な炎症や二次的感染がある場合には疼痛を伴う場合もあります。
< 診断 >
腫脹部の触診と穿刺吸引により診断を行います。
穿刺吸引では透明~灰褐色あるいは血液の混じった粘調度の高い粘液が採取されます。
< 治療 >
本病変は稀に一過性で自然に破裂して治癒する場合がありますが、多くの場合、根治的治療が施されない限り病変は持続します。
数週間以上続く場合や初回破裂の後に再発した場合には、すべての症例において外科手術の実施が推奨されます。