症例報告ブログ

胃拡張/胃捻転(GDV)

GDVは特に大型犬、超大型犬腫に起こりやすい疾患です。吐きたそうにするが吐けない症状、お腹の張りは要注意です。早食いすること、食後に運動することはGDVになりやすい要因となりますのでご注意を!
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症例:12才 シェパード 雌
主訴:昼間までは元気であったが、夕方、大量に水を飲んだ後、元気がない。えずいたり、吐こうとしたりするができない。腹部の張りを認める。
X線検査:
胃内ガス抜去前-胃の重度拡張が認められる。加えて捻れている所見(棚状構造)も認められる。
胃内ガス抜去後‐胃内ガスがなくなり、胃の拡張は軽減されたが、それでもまだ胃内の大量の液体体貯留が認められ、捻転もしている。

GDV 図1

図2-2

胃内ガス抜去前               胃内ガス抜去後

 

治療:GDVと診断し、緊急的に胃の中のガスを針穿刺により、抜去をおこなった。その後、緊急手術を行った。開腹手術により、胃の捻れを整復し、再発防止のため胃壁を腹壁に固定した。同時に脾臓摘出も行った。手術後は嘔吐もなく、経過良好である。

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・胃拡張/胃捻転(GDV)とは
過剰なガスにより胃が重度に拡張してしまうことによっておこる病気です。胃が拡張し、さらにお腹の中で捻れてしまうことがあります。発見が遅いと死に至る救急疾患であり、緊急手術が必要となります。GDVの死亡率は20〜45%と報告されています。

・原因
主に胸郭の深い大型犬や超大型犬で起こることが多いです。ほかにも、1回の食事で大量に食べる、速く食べる、食べた後の散歩・運動、高齢犬での発生が多いといわれています。

・症状
GDVが生じると、胃が重度に拡張・捻転しているため、嘔吐しようとするが何も出てこないことが多く、腹部の痛みが生じることがあります。胃が拡張・捻れることで、低血圧、ショック、消化管の壊死・穿孔が起こり、腹膜炎にまで発展することもあります。

・治療
低血圧などのショックの治療として輸液を行います。胃の減圧を行い、一般状態の改善を行います。開腹手術により、胃を切開し内容物・ガスの除去を行います。胃の整復、固定を行います。同時に脾臓の捻転も起こしている症例では、脾臓の摘出も行います。