症例報告ブログ

熱中症

今回は夏に多い、熱中症についての説明です。夏が来るとアスファルトから近いところでお散歩しているワンちゃん達は、私たち人間よりより強く太陽の熱をうけてしまいます。パグやシーズーなどの短頭種や黒い毛色のワンちゃんは特に熱中症に陥りやすいため、お散歩は早朝および日が沈んでから行うと良いでしょう。また、暑い家や車の中にわんちゃん、ねこちゃんを放置することで同様の症状が起こりますので、お出かけの際は気を付けてあげてくださいね!

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症例:ブルドッグ ♂ 5歳 25kg
主訴:1時間前にトリミングしてから呼吸荒い、嘔吐と下痢が2回起きた
院内検査
体温:42.0℃
血液検査、レントゲン検査にては特記事項無し
経過
抗生剤と抗凝固剤の投与を実施。
第2病日に血小板の減少傾向が血液検査にて認められたが、その後回復。初日に体温が下がってからは一般状態も良好。第5病日に退院。

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・原因
体に過度の熱が加わることで発生します。蒸し暑い日に車内や室内で留守番したり、暑い時間帯に散歩や屋外で過ごすなどすることで起きます。また短頭種の犬(ブルドッグ、パグ、ペキニーズ等)や北方が原産の犬(ハスキー、サモエド等)、太った犬、大型犬、心臓や呼吸器に基礎疾患のある犬が熱中症に罹患しやすいです。

・症状
開口呼吸、よだれを大量に流す、嘔吐、下痢、ふらつきなどがまず起こります。症状が進行すると失神、筋肉の震え、痙攣発作、吐血、下血、チアノーゼ、ショックなどが起こり命にかかわる病態に進行します。

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開口呼吸    よだれ    意識障害

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短頭種は熱中症をおこしやすい        大血管のある場所(頸、脇等)を冷やす

・診断
オーナー様よりの凛告と高体温、臨床症状などで診断をします。
症状により血液検査で腎数値や肝数値の高値、溶血による貧血、血小板減少などがみられることがあります。

・治療
体温を39.5℃まで冷やすこと、静脈内輸液を急速に行うことで救急処置を行います。同時に利尿剤や抗生剤を皮下注射します。
体温が下がっても意識が戻らなかったり、低体温、血小板減少症を起こす場合があり数日の入院が必要になります。

・予防
涼しい時間に散歩に行く、日陰を歩く、室内・車の中に一人で放置しない、いつでも冷たい水を用意しておくことなど体温を上げないことが大切です。

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