症例報告ブログ

尿管結石

尿路結石の多くは膀胱や腎臓で形成され、それが存在する場所により腎結石・尿管結石・腎結石などと呼ばれます。尿管結石は腎臓と膀胱をつなぐ尿管に結石が詰まってしまった状態です。症例の多くは激しい痛みが出たり、腎機能の著しい低下、また感染症を起こす原因になったりします。

 

診断:

診断にはレントゲン検査やエコー検査が有効で、結石の確認や腎臓・尿管の評価が有効です。結石部位のしっかりした確認のためCT検査を実施することもあります。

また腎機能のチェックのために血液検査を行います。

 

 

 

矢印の部位に小さな結石が確認できる

 

 

 

 

治療:

患者の状態や、結石の大きさ・数などにもよりますが手術が有効です。

手術が困難である場合などでは内科的に静脈内点滴などが行われることがあります。

 

予後:

腎臓にかかっていた負担により慢性腎臓病の治療が必要になることがあります。

また再度結石を作らないために食事療法やサプリメントなどを使用して再発の予防をします。

 

症例:

種類:猫(MIX)

年齢:4歳齢

雌雄:去勢雄

体重:4.0kg

飼育方法:室内飼育・多頭飼育

ワクチン接種歴:毎年ワクチン接種済み

主訴:突然の頻回の嘔吐、食欲不振

診断:

画像検査にて重度の水腎症(腎臓の腎盂という部分が拡張してる状態)と結石を確認しました。下の写真は症例が水腎症を起こしているエコー写真です。

また血液検査にて腎数値の上昇を認めました。

治療:

顕微鏡を用いた手術により、尿管を切開し結石を摘出しました。(下の写真が摘出された尿管結石です:3mmほどの大きさのものです)

その後、順調に回復し、現在は食事やサプリメントにより再発防止に努めています。