動脈管開存症
動脈管開存症
・動脈管開存症とは
動脈管は胎生期に肺動脈と大動脈に血液を通すバイパスとして機能しており、通常生後2~3日に退縮します。動脈管開存症では本来閉じるべき動脈管が残っており、治療しなければうっ血性心不全に発展してしまう先天性の病気です。
・症状
初期では無症状のことが多いが、症状が悪化すれば運動不耐性、呼吸速迫、発咳などが見られます。さらに症状が悪化すれば失神、チアノーゼ、うっ血性心不全による肺水腫で命に係わる可能性もでてきます。
・診断
身体検査では連続性雑音という特徴的な雑音が聴取され、動脈管開存症の疑いを判断します。
確定診断には心エコー検査が必要となり、肺動脈の分岐部での血液の乱流を確認します。
また心拡大の評価のためにレントゲン検査なども用いられます。
・治療方法
内科治療では一般的な心不全に対する薬が用いられます。しかし内科治療では根治治療が望めることが少なく、病態が悪化する前に外科手術を選択することが推奨されます。
外科治療では開胸手術により動脈管を糸で結紮し血流を遮断します。当院では外科手術をよりスムーズに行う目的で術前のCT撮影で動脈管を確認することおこなっています。
・症例
症例:
T.プードル
主訴:
3カ月齢のワクチン接種時に心雑音を聴取した。
検査:
聴診にて連続性雑音という動脈管開存症に特徴的な心雑音を聴取した。
心エコー検査で肺動脈付近に血液の連続性の乱流を確認し、動脈管開存症であることを確認した。
治療:
生後7カ月まで成長を待ち外科手術をおこなった。手術では肺動脈と大動脈をつなぐ異常な血管を確認し、糸で結紮し血流を遮断した。
また術前のCT検査にて動脈管の確認を行い、術後のCT検査にてその部分の血流が遮断されていることを確認した。
現在は心雑音も確認されず良好な経過を送っています。
オペ前CT(矢印が動脈管)
オペ後