症例報告ブログ

乳腺腫瘍

今回は避妊していないねこちゃん、わんちゃんに多い乳腺の腫瘍の話です。わんちゃんの場合は50%が悪性と言われていますが、猫ちゃんでは80%以上が悪性で乳腺の腫瘍が原因でなくなってしまうこともあります。体を触っていつもと違うしこりがあったら一度見せに来て下さいね!

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症例:Mダックス、雌、10歳
主訴:今朝お腹を撫でていたら、しこりを見つけた
院内検査:避妊をしていないこと、触診と針を刺したしこりの細胞検査から、乳腺腫瘍を疑った
経過:しこりが小さいことから、経過観察とした。数ヵ月後、急激に大きくなったため、外科的に切除した。

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・乳腺腫瘍とは
乳腺腫瘍とは、乳腺にできた腫瘍のことです。生理の時に乳腺が大きくなるのと違い、皮膚の下に固いしこりができます。良性と悪性の2種類があります。

・原因
生理がくるたびに乳腺が大きくなることで、乳腺の腫瘍化する可能性が高くなります。

・症状
基本的に乳腺腫瘍だけで症状がでることはまれです。悪性腫瘍で肺に転移する場合、咳や呼吸が荒くなるなどの症状がでることがあります。腫瘍が大きくなると、腫瘍の表面から出血したり、細菌感染で調子を崩したりすることがあります。また、その時の臭いが一緒に生活する上で、問題になることもあります。

・診断
避妊をいつしたかが最も重要な情報です。また、乳腺腫瘍が疑わしくても、他の腫瘍を除外するために針を刺して、中にある腫瘍細胞を調べることもあります。

・治療方法
内科治療
内科的にできることは、腫瘍からの出血や細菌感染がある場合の管理のみです。いろいろな理由で手術をしない場合に選択する方法です。
外科治療
急速に腫瘍が大きくなり、悪性腫瘍が疑わしい場合は外科適応になります。もう、肺に転移が認められる症例でも、腫瘍からの出血や細菌感染で生活が難しくなる場合も、外科適応になります。基本的には、左右1列の乳腺腫瘍を丸ごと切除します。