症例報告ブログ

食物アレルギー/アトピー性皮膚炎

今回は皮膚病の中でも治療に時間のかかる食物アレルギー、アトピーのお話です。これらの病気は一回の検査だけでは原因がわからないことも多く、長く通院が必要になることもありますが、根気強い治療が改善へとつながります。皮膚に何もできていないのに痒いみたい…若いのに痒みがなかなか引かない…なんて子は一度相談に来てみてくださいね!

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≪症例1≫
症例:ミニチュアダックスフント、7歳
主訴:足先手先の痒み。脱毛、発赤、出血。
治療:
食事をアミノペプチドフォーミュラー(ロイヤルカナン)に変更しました。
皮膚の表面に付着している菌の種類を特定する為に培養検査を行い、抗生物質をのんでしてもらいました。
現在は、療法食のみで皮膚をきれいに保つことができています。

【初日】

2

1

【4か月後】

3

4

≪症例2≫
症例:柴犬、2歳
主訴:1才の頃よりの脱毛と痒み。慢性皮膚炎のため皮膚が黒く色素沈着をしていた。
治療:
アレルゲン特異的IgE検査、リンパ球反応検査、Del-f2抗原検査を行いました。
これらのアレルギー検査により、アレルミューンによる減感作治療を行うことになりました。
現在は、療法食と月1回の減感作治療で保つことができています。

【初日】

6

5

【4か月後】

8

7

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・食物アレルギー/アトピー性皮膚炎とは
食物アレルギーとは食物に、アトピーとは主に環境物質に対し、さまざまな皮膚症状、消化器症状を示す疾患です。3歳以下で発症がみられることが多く。アトピー性皮膚炎の好発犬種は柴犬、シーズー、ウェスティーなどであり、食物アレルギー性皮膚炎の好発犬種はフレンチブルドック、シーズー、ダックスフンドなどです。

・原因
食物アレルギーでは牛肉、鶏肉、卵、小麦、乳製品など特定の食品を摂取することによっておこります。そのため、皮膚症状が発症した前後での食事の変更などは重要な情報源になります。アトピーでは環境中の特定物質に触れることによっておこり、花粉などに感受性がある場合は季節性が認められます。

・症状
特に目周囲、耳介、顎下、腋下、鼠径部、四肢末端、肛門周囲の発赤、痒み、脱毛が認められます。

・診断
外貌の観察、皮膚検査により細菌、真菌、外部寄生虫の感染がないことを確認します。
食物アレルギーを疑う場合にはアミノペプチドフォーミュラー(ロイヤルカナン)などの食物抗原が少ない食事を与えてもらい経過を観察します。
アトピー性皮膚炎を疑う場合には血液検査(アレルゲン特異的IgE検査、リンパ球反応検査など)でどんな物質に対し、アレルギー反応を起こすかを調べることができます。

・治療方法
食物アレルギーの治療方法は原因となる食物を与えないようにし、それが不可能な場合には免疫抑制剤を併用します。
アトピー性皮膚炎の治療方法としては根本的な治療となる減感作療法や免疫抑制剤、二次感染予防のためのスキンケアシャンプーの併用などが推奨されます。