症例報告ブログ

糖尿病

今回は人間でも有名な糖尿病についての紹介です。なんと、ねこちゃんもわんちゃんも糖尿病になるんです!!最近餌をガツガツ食べる割に痩せてきたなどの症状がある子は一度血液検査に来てみてくださいね!

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症例:和猫、年齢不明
主訴:最近、急激に痩せてきて、ぐったりしている。
検査:血液検査・尿検査から糖尿病であり、さらにケトアシドーシスの状態である可能性が高いことが分かりました。
治療:
入院治療により夜間も含めた徹底的なインスリン治療、血管輸液、根気強い補助給餌などを実施しました。徐々に全身状態が回復し、自分から食事をとれるようになりました。現在では、食事の際にインスリン注射を打つことで安定した血糖値を維持することができるようになりました。
入院時2.7kgと痩せ細った体が、現在では6kg以上の体重にまで戻り、元気も取り戻しています。

治療前

治療後

治療前                 治療後

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・糖尿病とは
インスリンが出なくなる、または出ていても効かなくなることで起こる病気です。インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込ませ利用させるホルモンです。そのため糖尿病では血糖値が異常に上昇する一方、細胞のエネルギー不足を起こします。

・原因
インスリンが出なくなるⅠ型糖尿病と、出ていても効かなくなるⅡ型糖尿病があります。
Ⅰ型は犬で多く、免疫疾患・遺伝性の要因・慢性膵炎「などの原因があります。
一方、Ⅱ型は猫で多く、肥満や食事要因によって引き起こされることが多いです。
また内分泌疾患や、薬剤などの影響で起こることもあります。

・症状
食欲は増えているが急激に痩せてくる、水を大量に飲む、白内障などの症状が起きます。
また症状が進行すると、細胞の重度のエネルギー不足を補うために脂肪の分解が急激に起こりケトアシドーシスといわれる病態を引き起こします。ケトアシドーシスが起こると重度の脱水、全身状態の悪化が起こり死に至ることもあります。

・診断
血液検査による高血糖や、尿検査による尿糖の確認が有効です。また糖尿病をおこす基礎疾患がないかなど他の検査を実施して判断することも多いです。
その他では持続性の高血糖があるか外注検査を実施する場合もあります。

・治療方法
ネコの糖尿病で軽度の場合は食事療法、ダイエット、薬などでコントロールできるケースもあります。しかし、多くの症例ではインスリン療法が必要になります。
またケトアシドーシスで全身状態が悪い場合は入院治療による、徹底的な血糖値管理や血管点滴が必要になります。当院ではケトアシドーシスの際のインスリン治療は夜間も通して実施されることもあります。