症例報告ブログ

猫下部尿路疾患(FLUTD)

今回は雄猫の緊急疾患にもなりうる病気を紹介します。尿は体の老廃物も一緒に出してくれているので、毎日出ていることをちゃんと確認してあげてくださいね!

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症例:和猫、去勢雄、6歳
主訴:ここ2~3日尿の出が悪い、元気食欲低下
院内検査:
触診検査―緊張した膀胱と尿で汚れた陰茎を確認。
血液検査―腎数値高値を認めた
経過:
すぐにカテーテルにて導尿し、膀胱洗浄を行った。その後、オーナーとの話し合いにより入院下で一般状態や血液検査での腎数値のモニターを行った。一時退院したが再発を2度繰り返したため、外科的に尿道を拡張する手術を行った。手術後、輸液や尿導カテーテル留置などの入院治療を1週間行い退院した。その後は排尿は順調で数カ月に1回の尿検査に通っている。

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・猫下部尿路疾患とは
猫に生じる泌尿器系疾患の総称のことを差し、その多くは特発性に起こることが多いです。

・原因
特発性膀胱炎、尿石(ストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム尿石)、尿道栓子によって発症することがほとんどです。

・症状
頻繁にトイレに行くのに尿が出ない、排尿時の痛みで鳴く、トイレ以外の場所で排尿する(不適切な排尿)、血尿など、膀胱炎の症状が現れます。
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・診断
尿検査での結石の検出、緊張した膀胱の触診。血液検査にて腎数値の高値。レントゲン検査にて尿結石の陰影など。
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・治療
尿道が尿道結石や尿道栓子で閉塞している場合には緊急処置が必要となります。カテーテルを用いて尿道の閉塞を解除し、膀胱内を洗浄します。尿道閉塞を起こしてから時間がたって急性腎不全に陥っているようであれば、その治療も並行して行っていきます。尿道閉塞を何度も繰り返しているケースでは、尿道を広げる手術が行われることもあります。
膀胱内に尿結石がある場合は、結石の種類によっては外科手術による摘出手術が行われたり、食事療法や輸液療法などの内科的治療で結石を溶解させたりします。細菌感染によるものでは、抗生剤による治療が行われます。