猫の跛行
今回は猫の跛行(はこう)について触れてみたいと思います。
跛行とは、何らかの原因により脚を挙上したり負重をいやがったまま歩行することです。
原因は骨折や関節の痛み、爪の損傷、肉球の異常など様々存在するため原因を特定することも容易ではなく、
原因がはっきりと判明しないまま治療を開始することもあります。
今回は少し変わった原因から跛行を呈した猫ちゃんについて紹介します。
症例
約15歳 雑種 雄
主訴
朝から後肢跛行
食欲あり 活力あり
身体検査
明らかな骨折・爪が肉球に刺さっている様子などはない
右臀部のあたりに硬いしこりがあるが以前からあったもの
診断:
Xrayによる画像検査にて右骨盤部の石灰沈着が確認された
その他明らかな骨折や脱臼・体表腫瘤などの異常はみられなかった
左が術前、右が術後のXray画像です。
病理検査目的のため腫瘤全部位を取り除いたわけではありません。
外科的に切除し病理検査の結果、骨軟骨腫との診断でした。
骨軟骨腫とは、骨に関する腫瘍の中でも良性腫瘍であり、通常の骨の成長と共に角のように大きくなったものです。
治療に関しては、基本的に良性病変のため、特に症状がなければ経過観察のみで、疼痛などがあれば切除します。
今回のケースでは、腫瘤自体は以前からあったものの、大きくなってきたため筋肉などを圧迫し痛みや歩行困難などの症状を呈したものと考えられます。
病変を完全に切除したわけではないにしろ、切除を行ったあとは猫ちゃんの動きもスムーズとのことです。
みなさんもワンちゃん、ネコちゃんの歩き方がおかしいなと思ったらお気軽にご来院ください。