症例報告ブログ

会陰ヘルニア

今回は去勢していないわんちゃんによく見られる病気の一つである、会陰ヘルニアを紹介します。去勢を行わなかったことにより罹患しやすくなる疾患は数多くありますが、最近便の出が悪いのよね…というワンちゃんは注意して下さいね!

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症例:Mダックス、未去勢雄、12歳
主訴:最近、便が出づらい。気張っている。
検査:
直腸検査、レントゲンにて直腸が筋肉の間にの出ているのを確認
治療:
外科手術にて、筋肉の隙間をメッシュで塞ぎ、同時に去勢手術、直腸を腹壁に縫い付け固定した。
術後より排便の状態は良好である。

オペ前

オペ後

術前画像                 術後画像

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・会陰ヘルニアとは
会陰ヘルニアは、お尻付近の筋肉が緩むことによって、腹腔内の臓器が緩んだ筋肉の隙間から出てくることを言います。そのため、お尻の横が膨らんだような状態になります。
出てくる臓器は腸が多いですが、膀胱・前立腺などが出てくる場合もあります。

・原因
筋肉の緩みに男性ホルモンが関与していることが分かっており、多くは未去勢オスで発生します。また、よく吠えてお腹に力を入れる子などは起こりやすいということも指摘されています。

・症状
出てくる臓器によって、便が出ない、きばる、おしっこが出ないなどの症状がでます。
おしっこが出ない場合などは命にかかわることもあります。

・診断
外貌の観察、直腸検査、レントゲン検査、エコーなどで出ている臓器の確認をします。

・治療方法
外科治療:
多くは外科が必要になることが多いです。外科では緩んだ筋肉の間をふさぎます(当院では金属製のメッシュを使うことが多いです)。また同時に去勢手術と、脱腸を防ぐため腸を腹壁に縫い付ける直腸固定も同時に行われることが多いです。
内科治療:
便が出ない症例では便を柔らかくする薬や、外から押して便を出してあげる処置などがありますが、内科治療だけでは限界があることが多いです。