症例報告ブログ

ネコ伝染性鼻気管炎

ネコに多い病気の一つです。

外見上に明らかな変化を伴うためよく気づくとは思います。

 

 

・ネコ伝染性鼻気管炎とは

ネコ伝染性鼻気管炎とはネコヘルペスウィルスの感染によって起こる伝染性の「かぜ」である。

 

・原因

ネコヘルペスウィルスによって引き起こされる。鼻汁や目やにに含まれるウィルスを直接や吸入することにより感染が起きます。ストレス、栄養不良、多頭飼育、免疫抑制をかける薬剤の投与などがあると症状が起きやすくなると言われています。

 

・症状

症状として多いのはくしゃみ、鼻汁、結膜炎などです。しかし重症例では発熱、食欲不振などの症状が見られます。

 

・診断

結膜炎や鼻汁などの臨床所見から病気が推測されることが多いです。

確定的にはウィルスの遺伝子検査などが実施されるケースもあります。

 

・治療方法

二次感染に対する抗生剤の投与や高ウィルス作用のあるインターフェロンなどの投与を行うことが多いです。

また鼻汁のひどい症例ではネブライザーによる吸入を行います。

また食欲がない症例には点滴や、食欲増進剤などの補助療法を行います。

結膜炎については点眼と、重度の場合結膜の癒着を起こすため癒着の剥離なども必要です。

 

・予防

ワクチンの接種が予防に効果的です。

____________________________________・症例

症例:和猫  約2か月齢

主訴:目やにと鼻汁で倒れている野良猫を保護

検査:身体検査所見よりネコ伝染性鼻気管炎の可能性が高いと診断。

また重度の栄養不良もあると推測された。

治療:抗生剤やインターフェロンの投与。鼻汁に対してはネブライザーによる吸入。

徹底した洗眼と点眼。適切な栄養管理。

これらの治療で全身状態が著しく回復した。

治療前   重度の結膜炎と鼻炎が認められる

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治療5日目  やや症状が改善

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治療10日目  軽度の結膜炎以外は症状がほぼ改善

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